見えない気持ち side H


今日はバレンタインデー。
流川君・・・きっと色んな人から貰ってるよね。
甘いものだめそうだし、私の分まで貰ってくれるかなあ?
はっ!、もうこんな心配はいらないんだったっけ。
きっと片思い時代の名残ね。はぁ〜。いつ渡そう?



部活終了後―
うわっ!やっぱり沢山もらってるよ〜。でも、
「帰るぞ」
当たり前にそんなことを言ってくれるのがすごく嬉しい。
「うん」

二人でいっしょに自転車置き場に歩いていく途中、女の子が一人立ってた。
「あっ、流川君・・・!」
顔を真っ赤にしてるその子。言われなくてもすぐに分かった。
この子も流川君のことが好きなんだって。あーあ。こんなことばっかり敏感で、やんなっちゃう。
やっぱりチョコレート渡すのかな・・・。

「あ、あの、これ!チョコレートなんですけど、もらって下さい!お返しとか全然いいんで、あの・・・」
やっぱりなあ。
「・・・ども」
そう一言だけ言って流川君は受け取った。

ほら、こんな時。流川君の気持ちを分かってても、胸がキュウってなる。
不安になる。
付き合ってるっていう事実があっても、目の前でこんなの見ちゃうと、やっぱキツイよ。


「行くぞ」
「あ、う、うん!」
顎で促されて自転車の後ろに乗る。
「ちゃんとつかまっとけよ」
「はーい」
そして、自転車はゆっくり動き出した。

「さみー」
「寒いね。こんな寒くちゃ授業中も寝れないでしょ?」
「いや、あれは別」
「も〜また赤点取っても知らないよ?」
「そん時はおめーがいるじゃねぇか」

!・・・もぅ。流川君分かってないでしょ。
そういう何気ない一言で私がどんな気持ちになっちゃうのか。
それって私がそばいることが当たり前って言ってるようなもんじゃない。
流川君は他の人より口数が少ないから、必要なことしかいわないしすごくストレートだ。
だから、今みたいなのは・・・心臓に悪い。
きっと知らないよね?こういうこと。
前よりずっとたくさん話するようになったし、一緒にいる時間が増えたよね。
でも、でもね流川君。
さっきのこともそうだけど、時々すごく不安になるよ。
気持ちが通じ合った今でも気持ちが見えなくて、何だか片思いしてるみたいになっちゃうんだ。


・・・・・
よく考えてみたら、
さっきの流川君の態度は曲がりなりにも彼女の私の前で取るもんじゃないと、私は思うのよ?
う〜ん何か・・・だんだん腹が立ってきたかも。
普通、普通となりに彼女がいたらあれは受け取るべきじゃなかったわよね。
いつもいつも振り回すのは流川君で、振り回されるのは、私。
本人に自覚がないから何も言えないし何より・・・うっとおしがられるかもしれないし。
大体流川君って・・・

「着いたぞ」
え?も、もう家なの?
チョコ渡す言葉考えてないよ・・・
「ありがとう」
とりあえずお礼言って。
どうしよう。言葉が出てこない。今日じゃないとだめなのに。
「チョコレート・・・いっぱい貰えて良かったね」
あーあ。可愛くないなぁ。言いたいのはこんなことじゃないのに。
「おめー・・・さっきから何も言わねーけど、何考えてんだ?」
もしかして呆れてる?
「別に、何も」
嘘ばっかり。

ふー。と、流川君はため息をひとつ漏らして、ふて腐れてる私に
「さっさと鞄に隠してるもん出せ」と言った。
・・・ばれてる。
「沢山持ってるし、もういいじゃない」
やっぱり好きになったほうが負けなのかな。
くやしいよ。

「・・・るい」
「なに」
「流川君はずるい」
ああもう止まらないかも。
「なんで」
「だって・・・、だっていつも私ばっかりがドキドキして、流川君のことが好きで、それで・・・」
「それで?」
「それで・・・ときどき、まだ片思いしてる感じがするんだもん」
やばい。泣きそう。どうしよう。こんなこと言うつもりなかったのに。

顔を見られたくなくて俯いていたら上から、
「おい」
って呼ぶ声がする。でもごめん。顔を上げる気にはなれない。そしたら、
「晴子」
う〜〜、ほんとにずるいよ。普段名前なんかで呼ばないのによりによってこんな時に言うなんて。
それでも下向いてたら

ズビシ!
痛!思わず顔を上げる。
「いたい〜!今チョップしたでしょお〜!?」
「おぉわりぃ」
そうして頭をわしゃわしゃと撫でる。
おっきい手だな。そんなことを考えてたら、突然、頬に小さくキスをされた。

え?え!えぇ?!!

「あのなぁ、」
「俺だっておめーのことが好きだ」
「おめーのだから欲しーんだ」
「それぐれー知っとけ」

「は、はい」


「じゃあな。サンキュ、これ」
私のチョコレートを鞄に入れながら。
「うん、またね」
そう言って別れたあと部屋に入って、一人になってようやく私の頭は動き始めた。
さっきのやり取りをすごくリアルに感じる。
あんなにはっきり好きって言って好きって言われたのって初めてだ。
嬉しいけど、は、恥ずかしいよー!
脈拍がおかしなリズムを刻んでる。
ベッドでうつ伏せになって、「あ〜」とか「う〜」とか言いながら手や足をバタバタさせてる私って、
たぶん今世界で一番変な人。
でも。
きっと今、世界で一番私が幸せ!



☆おしまい☆
初めて書いたできてる流晴です!うお〜恥ずかしいぜ!
時期的にバレンタイン話が頭から離れなかったので書いてみましたが・・・
私の中の流川と晴子ちゃんってこんな感じなんですが、どうでしたか?
流川から晴子ちゃんに好きだって言わせたかったんです!ほほほ〜♪




2005.2.2 UP

ルハル同盟の作品、記念すべき第一作目はユカさんのバレンタイン流晴です!
もーなんていうんですか!?この二人のラブラブなこと!!あーもう幸せです。
私のお気に入りは流川のチョップと晴子ちゃんの「・・・ばれてる。」です。
二人のやりとりに親密さが表れてて、とっても微笑ましいです〜!ぽわ〜ん(トリップ中)
ユカさん、素敵な作品どうもありがとうございました!!

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