見えない気持ち side R





今日はあれか。チョコだのケーキだの色々貰う日。
朝からこんな貰ってたら帰る頃にはどーなってんだ。
あいつも、くれんのかな。甘めーのはあんま好きじゃねーんだけど。





―部活終了後
「帰るぞ」
「うん」
一緒に帰るようになってもうずいぶん経つけど、この時こいつはいつもすげー嬉しそうにしてる。
ん?チャリんとこに誰か立ってる。ああ、
「あっ、流川君・・・!あ、あの、これ!チョコレートなんですけど、貰ってください!お返しとか全然いいんで、あの・・・」
こういうことは今まで何度もあった。昔だったら受け取んなかっただろうな。
でも、晴子と付き合うようになって俺も人を好きになる気持ちが分かるようになったっていうか、だから、なるべく受け取るようにはしてる。気持ちには応えらんねーけど。
「ども」
一言だけそう言った。さてと、
「行くぞ」
「あ、う、うん!」
どもってやがる。また何かしょーもないこと考えてんだろ、きっと。
「ちゃんとつかまっとけよ」
「はーい」
こいつたまに落ちそうになんだよな。まじ危ねぇ。










「着いたぞ」
「ありがとう」
そういえばこいつさっきからずっと黙ってるな。いつもだったら今日何があっただのまたこけただの色々話すくせに。
「チョコレート・・・いっぱい貰えて良かったね」
は?ちょっと待て。
「おめー、さっきから何も言わねーけど、何考えてんだ?」
「別に、何も」
嘘だな。こういう時こいつは大抵ろくなこと考えてねえ。もしかしてさっきの受け取った事か?
ふー。ったく。
「さっさと鞄に隠してるもん出せ」
「沢山持ってるし、もういいじゃない」
む。ふて腐れてやがる。



「・・・るい」
「なに」
「流川君はずるい」
「なんで」
何でそうなる。
「だって・・・、だっていつも私ばっかりがドキドキして、流川君のことが好きで、それで・・・」
「それで?」
「それで・・・ときどき、まだ片思いしてる感じがするんだもん」



片思いって、こいつまだそんなこと考えてたのか?まぁ確かに・・・最初の印象は最悪だったかもしれねーけど。俺言葉足んねーかもだけど。さっきの受け取ったのもやっぱまずかったかもだけど。
でも。



「おい」

「晴子」

む、まだ顔上げねー気か。これでどうだ。

ズビシ!
げっ、思ったより力入っちまった。やべ。
「いたい〜!今チョップしたでしょお〜!?」
「おぉわりぃ」
痛かっただろうな〜と思って頭をなでる。やっぱ小せえな、こいつ。
あ、何か・・・





気づいたらキスしてた。
あーすっげーびっくりしてる。てかそこまで驚かなくてもいいだろ、付き合ってんだし。

「あのなぁ、」
よく聞いとけよ。

「俺だっておめーのことが好きだ」
だから不安になる必要はねえ。

「おめーのだから欲しーんだ」
例え苦手なもんでもな。

「それぐれー知っとけ」
今のは、照れ隠し。



「は、はい」
よし。





「じゃあな。サンキュ、これ」
「うん、またね」
さて、と。帰るか。





家に着く間考えた。
たまに静かになったりボーっとしてたのはこういうことだったのか。ありえない現実を考えて不安になんのはあいつの悪い癖だ。俺が一緒にいる理由を分かってるくせに。
あいつ、思ったより俺のこと分かってねーみてーだな。チャリに二人乗りするときとか、さっきみてーにふとした瞬間に感じる身長差とか、少し色素の薄い髪が揺れるときとかそういう時に、俺だってドキドキしたりする。家まで送るときちょっとだけ遠回りしてるのだって、おめー知らねーだろ?今だって、何か心臓変だし。あー、顔が熱くなってきた。



「早く帰って、寝よ」



眠りなんて訪れないことを、本当は心のどこかで知りながら。





☆おしまい☆
side R でした。やっと書けた・・・!!(笑)ぱっと見たら晴子ちゃんのほうが流川を好きな割合が高そうなんだけど、実は流川も同じくらい好きだったらいいな〜って思って書きました。最初、晴子ちゃんの一人称で書いたら何だか流川サイドの話も書きたくなっちゃって。
ありがとうございました!





2005.2.19 UP

またまた!ユカさんからいただきました、バレンタインの流川サイドのお話です!
流川がの心の中がーーー!!晴子ちゃん想われてるよーー!!よかったねーー!
晴子ちゃんが自転車から落ちそうになってるなんて・・・か・わ・い・い・で・す!
ユカさんの書かれる二人はほのぼのしていて癒されます。ほわ〜ん(またもトリップ中)
ユカさん、どうもありがとうございました!!!

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