泣いたり笑ったりコロコロ表情が変わる


そして、時に無口になる


女ってのは本当に何を考えているのか分からない



単純



また笑ってやがる。何がそんなにおかしいんだ、1年マネージャー。もう練習終わったのに
帰らないのかよ。
「流川ー!あんたも来なさいよ、面白いわよー。あははは。」
先輩も何がそんなに面白いんだよ。
「・・・いいっす。」
「いーから来なさいって。」
「いてっ。」
先輩に引っ張られて女二人の輪に入れられる。
「これさー、この間の試合のときに撮った写真なんだけどね・・・あはは・・・」
先輩は、俺に何が面白いのか説明しながらまた盛り上がっている。
あいつは、もう笑っていない。黙り込んで先輩の話にうなずいてるだけ。
さっきまで笑ってたんじゃないのかよ。
「ちょっと聞いてんの?」
「聞いてないっす。」
付き合ってられねえ。二人に背を向けて部室に向かう。後ろから先輩の呼ぶ声が聞こえる、けど
聞こえないふり。
そのとき、またあいつの笑い声が聞こえた。

俺がいたら笑えないのかよ。

部室から出たらちょうど先輩と出くわした。
「お疲れー。」
「・・・うす。」
「あら、どうしたの。機嫌悪い?」
「・・・ナンデ。」
「いや、なんとなくね。」
確かに少しイラついてはいた。見透かされたようで居心地が悪い。早足で先に帰ろうとする。
「待ちなさいよ。」
結局二人並んで帰ることになってしまった。チャリこいで帰りたいのに。

先輩はずっと話をしている。時々俺に話を振ってくるけど、適当に返事をする。
あいつは並んで帰ったあの日、全然話し掛けてこなかった。二人黙ったままだった。
他の奴とはけっこう話してるのを見る。あのドアホウとか特に。

そんなに俺が嫌いかよ。
のくせにいつもジロジロ見やがって。

「やっぱりなんか変よ、あんた。」
何だよ、それ。
「一緒ッスよ。」
「ううん。なんか考え込んでるみたい。悩み事?」
悩み事?それじゃまるで俺があいつの事で悩んでるみたいじゃねーか。
「うるせーな。」
「なんですってー!!」
先輩が隣で怒鳴っている。けれど、それも遠くに聞こえるほどに俺は・・・

俺は、何かモヤモヤしたものに身体を乗っ取られていた。

「まったく・・・。」
「先輩。」
「なによ?」
「女って、忙しいスね。」
「どういう事?」
「笑ったり、泣いたり、黙ったり。」
「・・・それ、晴子ちゃんの事言ってんの?」
「ソウジャナイ。」
・・・とも言い切れないかもしれない。
「ふーん。あんたが女の事に興味持つとはね。そーねえ、女は男みたいに単純じゃないから。
 例えば、好きな人が近くにいたら急にはしゃいでしまったり、逆に黙り込んじゃったり・・・。
 ころころ態度も変わっちゃったり。難しいのよー、女の子は。」
先輩はニヤニヤしながらそう言って、俺をひじで小突いた。
「イタイすよ。」

『好きな人が―――。急に―――。黙り込んじゃったり―――。』

俺はさっきの先輩の言葉を繰り返し頭に浮かべていた。
そして同時に、俺にはまったく分からない感情について考えていた。

それは・・・つまり・・・あいつは俺を?

・・・まぁ
それが何なんだって話だから、もう考えないことにした。
ただ、俺の身体を乗っ取っていたモヤモヤは少し軽くなった気がした。


そのモヤモヤは
一体何が原因で、どこから来るものなのか・・・。


何だか知りたいような、知りたくないような。
そんな複雑な気持ちだけは消えずにいた。









END










★2004.5.24★少しづつ少しづつ、進展してますかね!?一応。流川目線で進めるのは結構難しいですが、面白いです。最近彩子さん出現率高いですね。アネゴごめんね、振り回しちゃって(笑)。
読んで下さってありがとうございました。

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